陶板はSDGsに適っているか

SDGs、sustainable development goals 持続可能な開発目標の12番目に「つくる責任つかう責任」というのがあります。これは、持続可能な生産消費形態を確保する事を求めているとあります。

そこで、長年携わってきた陶板作りについてSDGsの観点から考えてみたいと思います。
陶板の原料は、素地用の坏土(長石、珪石、粘土)、顔料となる酸化金属、釉薬となる長石、石灰や樹木の灰からなる土灰、粘土(木節、蛙目粘土)などからなり、すべて大地の恵み、地下資源又は土中の資源から成りたちます。

とはいっても、それぞれの資源を化学的に精製、精錬して出来上がった材料を適量調合して陶板を作成しています。

その過程において、化石燃料を用いた電力の恩恵に頼っていることは事実であります。

窯の種類は燃料から見れば、薪窯、ガス窯(LPガス、ブタン)、 灯油窯、 重油窯、電気窯に分類されます。
弊社では電気窯を用いております。
電気窯の電源が、原子力、太陽光、風力ならCO²二酸化炭素をあまり発生しないといわれていますが、現状は大半の電力が化石燃料によるものであります。

CO²二酸化炭素を排出しないと陶板を作ることが出来ません。
持続可能な生産形態を確保する事を求めているSDGsにはそぐわないものです

陶板製造に携わる身としては、いわば大地の資源を用いてさせていただいているという感謝の念をもって制作を続けていきたいと思っています。

目標12.つくる責任つかう責任

SDGs_目標12_アイコン 持続可能な生産消費形態を確保する

陶板はSDGsにはそぐわないものなのか。

陶板はSDGsにはそぐわないものなのか。

紙コップやプラスチック容器が再生可能な資源として再利用されるなら持続可能な社会の実現に寄与するというのは首をかしげたくなります。
陶磁器を使用した後に粉砕して再利用するならば再生可能というのも無理があると思います。
何故なら再利用するのにさらなるエネルギー、CO²を排出することになります。
使った後の容器を何度も再利用できるはずはないですし、再利用の用途も限定的になります。
川田美術陶板で生み出す写真陶板やサイン陶板は割れない限りずっと用いることが出来ます。
紀元前4000年の古代エジプトのファイアンス陶器や、わが日本で見つかっている、日本列島の最古の土器は、大平山元遺跡から出土した16,500年前の物は今でも焼き物として手に取ることが出来る代物です。
SDGsの目標以前に一度作ったらずっと使えるもの。
再生する必要がないほどずっと使えるもの。
そんな意味で陶板や陶磁器は大量生産、大量消費社会を出発点として掲げられるSDGsよりも先進的ではないでしょうか。

私は陶板製造者としてずっと使えるものを生み出していきたいと思っています。